はげしくゆるく キイの上を 駆ける白い指 この美しき 磨滅  上林猷夫

今年のGWは後半を帰省して過ごした。裏山と言っては何だが、家の北側に見える半田山(標高150m)は様々の色の新緑が混じり合いとてもすがすがしい。津島小学校がその麓にある。今年の元旦の初日の出は小学校横から拝んだ。その方面に歩いて上って行くと、坂道の左側にある芝生の片隅に小さな記念碑が立っている。それが標題の詩の記念碑である。
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鍵盤の上を女性ピアニストの指が軽やかに動くさまと軽快な旋律が同時に頭の中に描像され、しゃれた雰囲気を感じる。が、本当は何を言いたいのかは分からない。右側の石に作者 上林猷夫の説明が書かれている。
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本籍地が岡山市津島とある。この作品の背景などを探りたく、帰ってネット検索すると、(公財)吉備路文学館のサイトの中に この詩人の説明があった。

詩集は戦中に第1詩集「音楽に就て」、戦後27年に第2詩集「都市幻想」を出す。「人間本来の自然な生や自由の発展を阻むものへの内的格闘」(第3詩集「機械と女」あとがき)を信条として、都市生活者の人間喪失に熱いまなざしをそそぐ。

この文学館は岡山地元の中国銀行が50周年記念事業として始めたとある。

昭和61年秋、瀬戸大橋時代の黎明にあたり、精神文化の継承と向上に役立ちたいとの中国銀行の熱い思いから、創立50周年を記念して設立、この地はじめての文学カルチャースペースとしてスタートしました。


このような地元貢献の積み重ねがその地域の底力になると信ずる。この文学館が吉備の国縁の文学人として碑を作ったものと想像するが、引き続き調べたい。

さて、暖かくなってくると外に出て夜空を眺めることも増えて来る。
ふと、4年前だったか、妙に印象に残った地下鉄のポスターのコピーを思い出した。

ねぇスピカ アルクトゥルスの後に アンタレス

エフエム東京の東京まちかど天文台という番組の宣伝文句である。
スピカはおとめ座の星で青白い色。穂先の意味。細く尖ったものを意味し、英語のspikeに通ずる。和名は真珠星。
アルクトゥルス(昔、アークトゥルスと習ったような気がする。)はうしかい座α星。うしかい座で最も明るい恒星で全天21の1等星の1つである赤色巨星。太陽を除き実視等級がマイナスとなる4つの恒星の1つ。
スピカとアークトゥルスは近くにあり夫婦星。
北斗七星の柄の部分のカーブを延長すると、アークトゥルスを通ってスピカへ辿り着く。これを「春の大曲線」と呼ぶ。
アンタレスは南の空に輝く蠍座の赤い星で戦いの神様。赤い星は男性。青白いスピカは女性。
国立天文台の星空情報の2013年5月の東京の星空を見ると、このコピーの意味がよく分かる。北極星のずっと下やや左の方に白いスピカ、その左上に橙色のアークトゥルス、そして、左下の端の方に赤いアンタレスが見える。5月にはこれらの明るい星が同時に見え始め、7月中旬には右の端になる。
さて、先月、或る研究会で、中国人女性と名刺交換をすると、淼(びょう)という文字を含むお名前だったが、どうやら中国人の男性名は強さを表す火を、女性名は柔らかさを表す水を連想する文字を使うということだった。
スピカは中国では「角」、青龍のツノだそうだ。男性が愛というエネルギーを投入しないと女性は冷えて青白い尖った氷になるってことかな?
閑話休題
冗談はさておき、上の1行だけで、春から夏の夜空が分かったような気になるとともに何か起こりそうな、天体観測を誘う秀抜なコピーだ。

※「東京まちかど天文台」は今は「東京プラネタリー☆カフェ」として、篠原ともえさんがパーソナリティー役で放送されているようです。篠原さんは放送大学で聞き役を務めているのを観たことがあります。まだ、この番組を聴いたことはありませんが、天体に興味の有る方には面白そうです。
*追補ースピカ Spica
 耳と吻が尖っている犬、スピッツはドイツ語のSpitz、ノルウェーの北方の島、スピッツベルゲン(Spitzbergen)と同根の言葉のようです。 それでは風味が尖っているspiceはというとこれはspecial, species specimen, spectacle,など、spec見るという語根の仲間のようでした。

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