水素関係の本-2

2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、水素エネルギーが大きく採り上げられ、水素は将来のエネルギーの柱の一つに加えられている。水素は宇宙に最も多い元素であり、将来は水素をベースに人類のエネルギー体系を築いて行きたい/行くべしということはロングレンジの考えとしては、国際的にも大方の理解があると思われる。しかし、現在、国策として最も積極的に進めているのは日本である。経済産業省からは水素エネルギー白書が毎年発行されている。ウェブサイトからダウンロードすることができる。
水素関係の本については、昨年のブログで一度書いている。(水素関係の書籍・・・水素エネルギーとミトコンドリア ) エネファームやFCVの一般販売が進められているというので、行政筋は燃料電池の開発に関わる予算は絞り、水素インフラ整備の予算を重視しているとの声を聞く。ただ、燃料電池の本格普及にはまだまだ時間が掛かるし、そのためのコストダウン目標はかなり厳しい。従ってコスト低減に繋がる開発は継続すべきと考える。太陽電池の轍は踏みたくないものだ。
 とは言え、水素に関する情報は重要だ。私自身、1990年代、燃料電池開発の中で水素の確保に関する情報は貪欲に集めようとした。例えば、当時のNHKTVの夜の11時過ぎに「青春探検」という番組があった。若者を主人公にして描いていたが、紙等のセルロースを水素に転換させる細菌に研究だった。早速、NHKに自分の状況を縷々書いてその研究室の紹介を依頼した。それは北里大学の田口文章教授が率いる研究だった。当時、私の所属した研究所ではバイオの研究開発が進められていたが、所長は基盤研究を重視していたこともあり、そのグループのメンバーが菌の改良をするということで、盛り上がった。田口教授は、当時、「曖昧模糊」というブログも書いておられるなど、世の中の動向に関心を示されるていた。定年退官後は、子供たちに理科への理解を深めて欲しいという気持ちから、「理科好き子供の広場」を開設された。私は電池と燃料電池について執筆を依頼されたが、仕事でばたばたしているうちに機会を失したままである。その後、パンダのふんで生ごみ分解という研究でイグ・ノーベル賞を受賞されたが、体を害され亡くなられた。その遺志を引き継がれたメンバーが今でもその広場を続けておられる。
私の研究を遡ると、以下のように燃料電池以外でも私は何かと水素との関わりがあった。
・代替フロン製造用水素還元触媒の開発
・イオン交換膜法水電解(サンシャイン計画)
・Co電析の形態:共析水素とハロゲン化物イオンの共同吸着が結晶成長を制御する例
大学の研究室では私は金属・電極の解析を担当していたが、主要なテーマは高張力綱(ハイテン)の水素脆性と金属電析であった。私はNiやCoのように水素が共析するタイプだったが、Cuのように水素の平衡電位より貴な系では水素の共析は起こらないと当時は思われていたが、現在では、そのような系も電析開始初期は水素の共析が起こることが分かっている。電極表面の反応性はあくまでも電極表面の状態と溶液側の状況で決まる。
とにかく、最も小さな元素であり反応性の高い水素は神出鬼没である。

さて、その後も水素に関連する書籍が刊行されているので書き出してみる。

1.「水素貯蔵材料の開発と応用」小島由継監修、シーエムシー出版(2016)
 
〔第1編 総論〕
第1章 水素貯蔵材料の歴史
第2章 水素貯蔵材料の特性
〔第2編 水素精製〕
第1章 合金
〔第3編 常温水素発生技術〕
第1章 水素化カルシウム及び金属アルミニウムを用いた水素発生システム
第2章 水素化マグネシウムを用いたマグ水素発電機の開発と今後の進め方
第3章 アンモニアボランとヒドラジンを用いた水素発生システム
第4章 セラミックスを用いた水素発生システム
〔第4編 熱利用技術〕
第1章 業務用建物での水素エネルギー利用
〔第5編 定置用水素貯蔵技術〕
第1章 マグネシウムを用いたコンパクト水素輸送
第2章 Mg/Cu超積層体
〔第6編 電気エネルギー貯蔵への応用〕
第1章 水素貯蔵材料を起点とした多様なエネルギー研究への展開―錯体水素化物を例として
第2章 水素化物を用いた負極材料
第3章 ニッケル水素電池
〔第7編 昇圧技術〕
第1章 ケミカルコンプレッサー
第2章 水素吸蔵合金を用いた水素昇圧システム
〔第8編 水素除去技術〕
第1章 マグネシウムを用いた水素除去システム
第2章 過酸化物を用いた水素除去法
〔第9編 次世代水素貯蔵材料・処理技術〕
第1章 アンモニアボラン系水素貯蔵材
第2章 高圧合成法による新規水素貯蔵材料の探索
第3章 水素中時効熱処理による合金の高機能化
第4章 水素処理によるチタン合金の結晶粒微細化と常温及び超塑性引張特性
〔第10編 大量水素貯蔵・輸送技術〕
第1章 アンモニア
第2章 有機ケミカルハイドライド法を利用した水素の大規模貯蔵輸送技術―SPERA水素Ⓡシステムと今後の展望― 
第3章 ギ酸
〔第11編 その他(海外研究開発技術)〕
第1章 Research on hydrogen storage materials in China 
第2章 Towards the realization of hydrogen infrastructure in India:Development of hydrogen storage material and their applications

2.「再生可能エネルギーによる水素製造」、S&T出版(2016)
 再生可能エネルギーを用いた水素エネルギー製造や利用は成り立つのか! 実現するには何が必要なのか? 技術、経済性、環境影響について、新たな視点も含めた多様な観点から解説。

いずれも高価な書物なので、個人で購入ということにはならないだろうが、関係分野の方は事典的な書物として有意義であろう。

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