水素関係の書籍・・・水素エネルギーとミトコンドリア

「燃料電池」Vol.15の冬号に初心者向け図書、続いて、春号には経営戦略関連の書籍に関して拙稿を寄稿した。
特集等の原稿の執筆を依頼しても必ずしも間に合わないことは避けられない。記事の穴埋めの役割も果たしている。
さて、カレンダー通りの勤務先の方は、5月2日(月)それに5月6日(金)を休暇にすれば、4月29日(金)から5月8日(日)まで、10日間のまさにゴールデンウィークだったことになる。その中の5月6日(金)は1937年に 世界一の巨大飛行船「L2-129 ヒンデンブルク号」が旅客を乗せて、米国はニュージャージー州レイクハースト海軍飛行場で炎上し、死者36人の惨事となった日である。
これをとらえて水素は危ないものとして記憶に残す方は多いと思う。しかし、これを冷静に見ると、確かに最初は気球後部が発火の起点で多分はこれは水素によるものであろうが、その後は、めらめらと気球が燃えているだけであることに気づく。地上着陸後の燃焼は燃料油にるものである。水素は最初の着火後、即、大気中に放散したであろう。
 今では、水素は確かに危険ではあるが、ガソリンやLPGなどの燃料とは取り扱いに注意すべき点が異なるだけで、場合によってはガソリンの方が危険なケースもあることが明らかになっている。しかし、3.11の際の原発における水素爆発は強烈な印象を多くの方に与えたはずで、ここで一般の方を含め、水素に関わる情報はどんなものがあるか整理しておくのも悪くは無いだろう。
と言うことで、次の書評の対象は水素関係かと思うがそれほど多くは無い。

まずは初心者向けから中級。

古くは、太田時男、「水素エネルギー」(講談社新書371)、講談社(1974)が懐かしい。
大田時男教授は、横浜国立大学の第10代の学長をされた方だが、ヨコハマ・マーク4など、化学プロセスを用いた水素製造法などで著名であり、強いリーダーシップを発揮された方である。
その後、ジョン・O’M. ボックリス 等、「水素エネルギー入門―水素エネルギーの経済と技術がわかる 」(西田書店 )(2003)が発行されている。
西川正史ら、「水素 将来のエネルギーを目指して」、(養賢堂)(2006)では幅広い領域の執筆者で構成されている。

大角泰章、「水素吸蔵合金-その物性と応用」、アグネ技術センター、(1993)
大角泰章、「水素エネルギー利用技術」、アグネ技術センター、(2002)
 大工研の代表的な成果としては、炭素繊維とともに、水素吸蔵合金が挙げられるが、著者はその顔となられたかたである。

文部科学省 科学技術政策研究所 科学技術動向研究センター編著、「図解 水素エネルギー最前線」、工業調査会、(2003)

「初歩と実用シリーズ よくわかる水素技術」、日本鉱業出版、(2008)

「トコトンやさしい水素の本」、日刊工業新聞社、(2008)

その他、啓蒙書または水素エネルギーに対する社会的な見地からの執筆という点では以下の書が挙げられる。
ジェレミー・リフキン、「水素エコノミー エネルギー・ウェブの時代」、NHK出版、(2003)
 松岡正剛の千夜千冊でも採り上げられている。

Joseph J. Romm、「水素は石油に代われるか」、オーム社、(2005)
 これは、"THE HYPE ABOUT HYDROGEN", Island Press, (2004)が原著である。原題の翻訳にはかなり注意を払われたと推測される。

NEDOの「水素エネルギー白書」、日刊工業新聞社、はウェブサイトからPDFをダウンロードできる。


 個人での購入とは行かないが、ハンドブックや事典の類は研究室毎には揃えておきたいものだ。

新しいものから列挙してみる。

水素エネルギー協会、「水素の事典」、(朝倉書店)(2014)
「水素利用技術集成~高効率貯蔵技術、水素社会構築を目指して」Vol.4、(エヌ・ティー・エス)(2014)
「水素利用技術集成 加速する実用化技術開発」Vol.3、(エヌ・ティー・エス)(2007)
水素・燃料電池ハンドブック編集委員会編、「水素・燃料電池ハンドブック」、(オーム社)(2006)
「水素利用技術集成 効率的大量生産・CO2フリー・安全管理」Vol.1、(エヌ・ティー・エス)(2005)
「水素利用技術集成 製造・貯蔵・エネルギー利用」Vol.1、(エヌ・ティー・エス)(2003)
太田時男監修、「水素エネルギー最先端技術」、(NTS)(1995)

昨今のバイオ科学の進展は著しいものがあるが、水素の事典のカラー口絵にはミトコンドリアの内膜に構築された電子伝達鎖とATP合成酵素が最初に掲載されている。
少し古くなるが、
ニック・レーン、「ミトコンドリアが進化を決めた」、みすず書房、(2007)は読み応えのある内容だ。専門書では無いが、教科書にも使われているようだ。
千夜千冊の1499夜にはそのニック・レーンの『生命の跳躍』が紹介されている。


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