地震と燃料電池

3.11東日本大震災から5年と1ヶ月近く経った。
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水素を燃料として用いる燃料電池の研究では地震のことは気になるものだ。赤色に塗色された水素ボンベはいやが上でも目立つ。実験室内に裸の水素ボンベを設置することは少なくとも企業ではあり得ないだろう。実験室内へ設置する場合は専用のキャビネットに納める。水素ボンベから燃料電池へ水素をラインを直結することは少なく、通常は電解質膜を加湿する装置を経由する。ということで、地震が起こったときは何らかの安全装置が働くようなセッティングを行うことになる。一度止まると実験再開まで何かと手間が掛かるので実験担当者には恨まれたというか、感震のレベルを下げて欲しいと言われた。地震や地震大国である日本の地質学を知ることの重要性を実感したのは、尾池和夫「四季の地球科学 日本列島の時空を歩く」(岩波新書、2012年07月発行)と3.11である。岩波書店の宣伝文句には、”地震と噴火は日本列島を生み出し,今も刻々とその相貌を変えている.気候変動が進行する現代に,四季の変化をもたらす天の運行,大地の動き,生態系の成立ちを考えてみよう.大地の生い立ちを現場で学ぶ,日本と世界のジオパークも紹介.日本列島が生まれ育った数億年の時空を歩き,各地に提供される恵みとともに愉しむ.”とあるが、俳句を交えながら日本の地質が紹介されている。正に文理の融合であり、感激して多くの知人に奨めたものだ。プレートが潜り込む時に巻き込まれる海水が岩石の融点を下げるために日本列島に火山が多いというのは我々が子供の頃には習わなかったが、このような本質的なことは中学生くらいには教えて欲しい。私が多年お世話になった会社はガラスを事業にしていたが、ガラス中に含まれる水はガラスの物性に影響を与えるのでその分析は重要である。核磁気共鳴法、赤外分光法、ラマン分光法、X線光電子分光法(XPS)、および飛行時間型二次イオン質量分析法(ToF-SIMS)などの他に最近では核反応分析も行われている。「ガラス中水分定量のための核反応分析」として「分析化学」に論文がでているようだが、この執筆者の一人、福谷克之氏にはオレフィンの水素還元反応の際、反応に寄与しているのは表面吸着水素ではなく、吸蔵水素であるという報告がある。大変興味深かったが、これもその核反応分析によるものだ。福谷教授には、当時私が世話人代表を務めていた触媒学会燃料電池研究会の宿泊セミナーでも講演して頂いた。また、NEDOプロのメンバーにも入って頂いた。
3.11大震災の年の春の学会は中止になったものが多かった。その年の5月に予定していた第18回燃料電池シンポジウムも開催が危ぶまれたが、何とか開催にたどり着くことができたのは幸いであった。
第20回シンポジウムには恒例の特別講演に上記の尾池教授をお招きすることができた。エネルギーに関わるものにとって地質学、特に日本の特質を知ることは重要だと思ったからである。後ほど参加された方からは好評を頂き、3月に一緒に着任した編集担当の方と思わず顔を見合わせてホッとしたのを覚えている。

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